ニューヨークにある、世界一のレストランと言われるEleven Madision Parkがお肉を使わないメニューを提供することを決定しました。
このEleven Madision Parkはミシュラン３つ星、世界のベストレストラン50で2017年に1位を獲得、さらに同サイトでBest of the Bestつまり最高中の最高を受賞しています。ちなみにNYのレストランを評価する際アメリカ人もよく参考にしているNew York Timesの評価。もちろんEleven Madision Parkは最高ランクの４つ星が付与されています。私も2度行ったことがありますがメニューの内容、スタッフのサービス、そして味覚以外でも楽しめるエンターテイメント性が料金の高さを正当化（むしろ安いくらい）してくれるほどでした。
シェフの考え
2011年から本レストランのシェフであるDaniel Humm氏曰く、”お肉を使う料理はSustainableではない”ため、野菜中心のメニューにするとのこと。ちなみに完全なヴィーガンではなくコーヒーのミルクや蜂蜜は引き続き使用する方針です。
以下はWSJがDaniel氏にしたインタビューからの抜粋ですが、過去のメニューと同じ水準での美味しさを提供することができるかどうかを決定の判断基準にしたそう。
“When we set out on this journey we promised ourselves that we would only do this if the meal could be as delicious as it was before.”
このレストランの有名な料理の一つ蜂蜜とラベンダーを使った鴨料理があったのですが、野菜中心のメニューとするとの判断はミシュランなどの評価を下げる可能性が高く相当大きな判断だったと思います。このようなFine dineでよく使われるキャビアやロブスターも使用されなくなるとのこと。
ちなみに完全に野菜だけを使った料理を提供しているミシュラン３つ星レストランは北京にあるKing’s Joyだけ。
有名な鴨料理
キャビアとチーズケーキが絶妙なコンビネーション
提供される料理一つ一つが視覚でも楽しめる
サステイナブルがレストラン業界に与える影響を考える
ご存知の通り現在SDGsやESG、サステイナブルという言葉が世界中で流行っておりすでに投資の判断材料にもなっています。仮に投資家がサスティナビリティを重視するのであれば資金集めにも有利です。ちなみに日本の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）も2017年からESG投資をスタート。現在サステイナブル投資を加速させていることがメディアでも報じられています。
2021年のミシュランの発表はすでに終わっていますが2022年に野菜中心のメニューで挑むEleven Madision Parkがまたミシュラン３つ星を取得できるのか、他のレストランがサステイナブルを料理に持ち込むという流れに追随するのか。個人的に大変興味深いです。ミシュランのような評価者もおそらくサステイナブルを評価せよという世論の声を聞いているでしょうし、これらの声を反映させざるを得なくなる日も近いのかもしれません。
地域にも貢献するレストラン
このレストランがとても素晴らしいのは、レストランとして地域に対する貢献を忘れていないということ。2021年5月、Eleven Madison Truckというサービスを開始しています。このサービスはベンチャー企業と協力してブロンクスやブルックリンなどの食料を満足に買えない地域にて週2000食を提供するそうです。このサービスの原資は、現在お家で食べられるメニューの売り上げ、2021年6月10日以降のReopen後はレストランでの売り上げをベースにするとのこと。
コロナ禍中で医療従事者向けに料理を提供していた本レストラン。また新たなメニューを食べれるのが大変楽しみです。2021年5月10日より本レストラン予約開始しています。
Eleven Madison Park
https://www.elevenmadisonpark.com/
